先に結論から言います。
試乗するだけのつもりでディーラーに行って、
その翌日、新車を契約していました。
しかもドイツ車。
しかも、手元にお金はあったのに、わざわざ残価設定クレジット(いわゆる残クレ)を組んで。
今思い出しても、あほやったなあと思います。
この記事は、数年前に転職で会社を辞めたとき、私がやらかした衝動買いの記録です。
完全な失敗談なので、笑いながら読んでください。
そのうえで、同じ失敗をする人が一人でも減ったらいいなと思っています。
退職金とボーナスで、急に金持ちになった気がした
ことの始まりは、退職のタイミングでまとまったお金が入ったことでした。
夏のボーナスと退職金が、思っていたより良かったんです。
口座の残高がいつもより一気に増えて、画面を見たときに「あれ、自分、けっこうお金持ちなんじゃないか?」という錯覚が生まれました。
今ならわかります。これは錯覚です。
退職金は、これからの生活や次の仕事までのつなぎのための大事なお金で、自由に使っていい臨時ボーナスではありません。
でも、まとまった額が一度に入ると、人の金銭感覚は簡単にバグります。
月々の給料がコツコツ入るのとは、脳に来るインパクトが違うんですよね。
財布のひもがゆるみきった、危険な状態。そこに、一通のはがきが届きました。
「試乗キャンペーン」のはがきが、すべての始まり
以前なにかの拍子に試乗キャンペーンに登録していたらしく、ディーラーから「お得なキャンペーンやってます」というはがきが届いたんです。
軽い気持ちでした。「どれどれ、せっかくだし試乗だけ行ってみるか」と。
買う気なんて、このときは1ミリもなかったんです。本当に。
……と、衝動買いをする人はみんな言うんですよね。わかってます。
ディーラーに着くと、店員さんに「どれに乗ってみたいですか?」と聞かれました。
軽い気持ちで来たくせに、なぜか私は一番大きいやつを指さして
「じゃあ、これで」と言っていました。
かっこいいですし、大きい車いいですよね。
すると、鍵を渡されました。
この時点でもう、手の中に車があるんですよ。
そして店員さんが、こう言うんです。
「私も一緒に乗ったほうがいいですか? それとも、お一人でゆっくり運転されますか?」と。
一人で。
私は迷わず一人を選びました。
これがいけなかった。一人で公道に出た瞬間、完全にやられました。
隣に誰もいない、自分と車だけの空間。
すでに自分の車みたいな顔をして、ハンドルを握っているわけです。
ドイツ車です。乗り味が、それまで乗っていた車とまるで違う。
ハンドルの感触、加速、走りの安定感。なんだか楽しくなってきちゃって(笑)。
気づけば鼻歌まじりで運転していました。
今ならわかります。
この一人試乗で、勝負は完全に決まっていました。
営業トークでぐいぐい来られるより、一人で気持ちよく運転させてもらうほうが、よっぽど効くんですよ。所有している気分を、先に味わわされてしまうので。
うまくできてるなあと、後になって感心しました。
翌日、契約していた
その日は「ちょっと考えます」と言って帰りました。
一応、踏みとどまったんです。一晩は。
でも、頭の中はもう車のことでいっぱい。
あの乗り味が忘れられない。
退職金もある。
月々の支払いも、提示された金額を見たら「あれ、意外といけるんじゃない?」と思えてしまった。
そして翌日、私は何をしたか。電話で済ませればまだマシだったのに、また自分からディーラーに足を運んでいました。
「もう一回だけ見るだけ」と自分に言い聞かせて。
でも、わざわざ現地まで足が向いている時点で、もう答えは出ていたんですよね。
そこで出てきたのが、最後のひと押しです。「本日までの限定値引き」。
今日決めてくれたら、この値引き。
今を逃すと、この条件ではちょっと……という、あれです。
「今日まで」と言われると、逃したら損する気がしてしまう。
冷静に考える時間を、うまいこと奪われるわけです。
そして私は、契約していました。
試乗するだけのつもりが、24時間とちょっとで新車のオーナーです。
判断のスピードだけは一流でした。中身は最悪でしたが。
ちなみにあの「本日まで」、今思えばほぼ演出だったと思います。
たぶん別の日に行っても、似たような条件で買えたんじゃないかなと。まんまと踊らされました。
しかも、ここがいちばん情けないんですが——ディーラーさんは余計なオプションは外してくれたものの、私は自分から「これ、サービスでつけてもらえませんか?」と交渉する発想すらありませんでした。車みたいな高い買い物は、本来こちらから条件を出して交渉できる場面なのに。
それくらい、完全に舞い上がっていたんです。
値引きを「してもらえてラッキー」と受け身で喜んでいる始末でした。
一番やばかったのは「残クレ」を選んだこと
ここからが、この記事で一番伝えたいところです。
私はこの車を、残価設定クレジット(残クレ)で買いました。
手元に退職金というまとまった現金があったのに、です。
残クレを簡単に説明すると、車の価格のうち「数年後の下取り価格(残価)」をあらかじめ差し引いて、残りを分割で払っていく仕組みです。
最後にその残価分を、一括で払うか・車を返すか・また組み直すか、選ぶことになります。
何がやばいかというと、月々の支払額が安く見えるんです。
残価を最後に回しているぶん、毎月の負担が軽く感じる。
だから「これなら買えるじゃん」と思ってしまう。私もまさにこれにやられました。
でも冷静に考えてください。
私には現金があったんです。普通に考えたら、現金で買うか、そもそも買わないか、の二択でした。
なのに、月々の安さに釣られて、わざわざ金利を払って分割にした。
お金を持っているのに、お金を払う仕組みを自分から選んだわけです。
意味がわからないですよね。今の私も、当時の自分の判断が意味わからないです。
月々の数字のマジックに、まんまとかかっていました。
車は最高でした。でも。
誤解しないでほしいのは、車そのものは本当に良かったということです。
乗り味は最高でした。
休みのたびに、用もないのにドライブに出かけました。
たくさん乗りました。
所有している満足感もありました。
車に罪はありません。あの子は良い車でした。
でも、初回車検(3年目)を迎えるタイミングで、私はこの車を手放しました。
ドイツ車の車検は、国産車に比べてお金がかかります。
部品も整備も高い。そこに残クレの残価の問題も重なって、「ここが潮時かな」と。乗り続けるには、また大きなお金が必要になる場面でした。
楽しかったけど、ここまで。そういう別れでした。
後悔しているのは「車」じゃなくて「買い方」
振り返って、私が後悔しているのは車を買ったこと自体ではありません。
乗って楽しかったし、いい思い出です。
後悔しているのは、買い方です。
試乗のつもりが勢いで翌日契約したこと。
退職金で気が大きくなって冷静さを失っていたこと。そして、現金があったのに残クレを選んで、わざわざ余計な金利を払ったこと。
このあたりの判断は、今でも「あほやったな」と思います。
この失敗から学んだ、お金の話
笑い話で終わらせず、せっかくなので学んだことを残しておきます。
同じ場面に立つ人の役に立てば。
臨時収入は、最初からなかったことにする。
退職金やボーナスでまとまったお金が入ると、金銭感覚は必ずバグります。
「自分は金持ちになった」という錯覚は、本当に危険です。
大きいお金が入ったときほど、いったん全部「ないもの」として、しばらく動かさないのが安全です。
大きい買い物は、一晩どころか一週間おく。
私は一晩おいたのに負けました。高揚感は、思っているより長く続きます。
本当に必要なら、一週間冷ましても欲しいはず。
冷めて消える欲しさなら、それは衝動です。
「月々いくら」の安さに釣られない。
残クレもローンも、月々の数字を小さく見せて判断を狂わせます。
見るべきは月額ではなく、最終的にトータルでいくら払うか。
そして、現金で買えるものをわざわざ金利を払って分割にする意味があるのか。
ここを冷静に計算するだけで、だいぶ目が覚めます。
ディーラーの「今だけ」は、背中を押す演出。
キャンペーン、はがき、限定。あの空気は、こちらの財布を開かせるためのものです。
私を契約させた「本日までの限定値引き」も、今思えばほぼ演出でした。
「今日まで」と言われても、たいていは焦らなくて大丈夫。
悪いと言っているのではなく、そういうものだと知っておくだけで、流されにくくなります。
どうせ買うなら、受け身でなく交渉する。
これは反省というより、ぽんこつ具合の証拠なんですが……私は舞い上がりすぎて、自分から条件を交渉するという、当然できたはずのことすらしませんでした。
車のような高い買い物は、こちらからオプションや条件をお願いできる場面です。
なのに「値引きしてもらえてラッキー」と受け身で喜んでいた。
冷静さを失うと、本来できる交渉まで頭から飛びます。買うと決めたなら、せめてちゃんと交渉のテーブルに着くべきでした。
というわけで、試乗のつもりが翌日に残クレでドイツ車を買っていた、というぽんこつな話でした。
車は最高だったので、後悔オチではあるものの、嫌な思い出ではありません。ただ、お金の使い方としては完全にやらかしでした。
もしあなたが今、まとまったお金が入って気が大きくなっていて、なんとなくディーラーのはがきを眺めているなら……一週間、待ってみてください。
それでも欲しかったら、そのときはもう、止めません。
ちなみに輸入車!最高です!
趣味や浪費として資金がクリアできているなら、人生を豊かにするいい選択です!(もちろん国産車も好きだし株も保有していますが笑)
※残価設定クレジットの仕組みや条件は、販売店・時期・契約内容によって異なります。この記事は私個人の体験と感想であり、契約の際はご自身で条件をよくご確認ください。

